| 川崎 |
村田さんは福岡へいらっしゃって、どのくらいになりますか。 |
| 村田 |
今年の6月で2年になりました。こちらへ来る前はイギリスで演奏活動をしておりまして、帰国してから九州交響楽団(以下、九響)のコンサートマスターに就任し、福岡に住むようになりました。 |
| 川崎 |
私ども福岡市文化芸術振興財団は、まだ今年の3月に設立されたばかりなんです。
福岡アジア美術館もできたことですし、市の美術館協会や博物館協会などの文化事業の窓口をここに一本化し、芸術家と市民とのパイプ役を果たしていこうということで発足しました。行政主導ではなく、市民と行政が一体となって、地域市民の文化芸術環境を豊かにしていくのが大きな目的なんですよ。 |
| 村田 |
地域の文化芸術の一端を担っている人間としてはうれしいお話ですね。どこの国でもどこの都市でも、経済的に落ち込んでいくと必ず最初に予算カットされるのが文化芸術への支援ですから。 |
| 川崎 |
私はね、文化や芸術というのは、自分たちがやろうという気持ちのないところには芽生えてこないと思うんです。絵でも音楽でも芝居でも、自分が好きだから熱心になる。ですからまず、市民の皆さんが文化や芸術を好きになるような環境づくりをすることが、文化芸術支援の第一歩ではないでしょうか。 |
| 村田 |
ヨーロッパのオーケストラでは、演奏会のない日などに数人のメンバーが普段着で学校を訪問して、子どもたちと一緒に演奏を楽しんだりしています。そういう機会に触れるか触れないかで、その後の人生が変わるお子さんもいらっしゃるでしょうし、演奏会に興味を持って聴きにいく姿勢ができてくるかもしれません。 |
| 川崎 |
幸い福岡市内にはたくさんの公民館や施設が身近にありますから、そういうところへ村田さんのような一流の方に来ていただいて、すぐ身近で子どもたちに本物のヴァイオリンの音を聴かせてあげることができたら理想的ですね。 |
| 村田 |
私はプロのヴァイオリニストですが、基本的には本当にいいものであれば絵でも演劇でも何でも好きなんです。学生時代には劇団四季のミュージカルのオーケストラでも弾いたりしていましたし、九響に入ってからはバレエの演奏をするようにもなりました。やはり、どの分野にしてもトップレベルの方たちの舞台なり表現を観ると、鳥肌が立つような感動を覚えます。 |
| 川崎 |
やっぱり、いいものに触れなければ観る目も養われないでしょう。当財団では九響の定期公演への優待事業なども行っていますが、今後は歌舞伎など、本物の舞台芸術や伝統文化に触れる機会を増やしたいと考えています。福岡は劇場やホールなどのハードはだいぶ整ってきましたので、今後はそうしたソフト面の充実を図るべきだと思います。ただ、音楽演劇等の練習場であるパピオビールームなどは好評すぎて、少し需要に応じきれなくなってきてるような気がします。 |
| 村田 |
パピオビールームは、私も九響以外のアンサンブルの練習のときなどに使わせていただいています。あのようにみんなが使える施設は本当にありがたいです。メンバーが十数人も集まると、どこで練習していいのかわからないんですよ。こんな場所がもっと増えると良いですね。 |
| 川崎 |
当財団は、そうした市民の悩みにお答えする相談窓口でもありたいと願っています。たとえば「仲間と音楽会を開きたいが、どうすればいい?」という小さな相談でもいいんです。文化芸術関連の雑誌やビデオが自由に見られる情報交流コーナーもありますから、気軽にたずねてきて欲しいものです。そしてゆくゆくは、ここへ来ればプロだけではなくアマチュアの方々の文化芸術活動までがわかるという、情報発信の場としての機能も整備していきたいと思っています。 |
| 村田 |
私もこれから困ったこと、わからないことがあったらご相談に上がると思います(笑)。 |
| 川崎 |
どうぞ、どうぞ、できる限りのことはお手伝いさせていただきますよ。市民の皆さんの声に耳を傾け、ニーズに則したきめこまやかな対応をしていく、それが当財団のめざす文化芸術支援活動なのですから。
村田さんも九州唯一のプロオーケストラのリーダーの1人として、身近に感じる存在になって欲しいと思います。これからもぜひ頑張ってください。 |