| ■小説を書き始めたきっかけはどのようなものですか。 |
| 大学時代の夏の夜に、突然インスピレーションが湧いたんです。それを徹夜でノートに書き留めました。いま思えば出来の悪い作品でしたが、それが最初の創作でした。本を読むことは好きだったけど、自分が将来作家になるなんて思いもよらなかった。26歳のときに初めて自分の作品を新人賞に投稿しました。「あわよくば作家になりたい」という欲が出てきたのは、それ以降のことです。 |
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| ■十数年後に夢が叶ったわけですね。 |
今まで一生懸命に書いてきたけど、完成した作品は少ないし、投稿しても受からないまま40歳を過ぎてしまいました。何か書こうと思って机に向かっても、出てくるのは断片的なイメージだけで、作品にならない。作品が完成するにはまとまったインスピレーションが必要なのですが、35歳以降はそれも湧かなくなってしまっていた。
基本的には、このままサラリーマンで生涯を終えるのかなと考えていた。けれども自分の中にはまだモヤモヤしたものが残っていて、小説を書くことでそれを諦められたらという思いがあったんです。それだけに今回の受賞は、自分にとっても意外な結末でした。 |
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| ■「塔」では非現実的なシーンや人物が、リアルな世界と交錯していきますね。 |
ぼくは昔から突飛なことばかり書いてきましたし、「塔」にしても妄想の世界をひた走りながら作品を書き進めていきました。どうもリアリズムの作家ではないようですね。
最近2作目が完成しました。タイトルはセンセーショナルな名前を検討中です。ある町にカリスマ的な町長がいて、その町の風習や体制はすべて町長ひとりの手によって統御されている。そこへある家族が引っ越してくる──というプロット。この小説は「すばる」の6月号(5月6日発売)に掲載される予定です。 |
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すえひろ よしひさ
1956年、大分県宇佐市生まれ。福岡大学工学部を卒業後、東京で電子部品商社に就職。2年後に退職し、建設会社を経て、現在は九電情報サービスに勤務。大学時代から小説の創作を始める。2000年9月、第24回すばる文学賞を受賞。2001年1月、受賞作の「塔」(集英社)を刊行した。福岡県宗像市在住。 |
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