[特集]ふくおか交響曲![]() 昨年7月、福岡サンパレスで開かれた九州交響楽団の第222回定期演奏会では、極めてユニークな演奏が繰り広げられた。このごろ、九響の定期演奏会で名演が次々に生まれ、話題となりそうな演奏が繰り広げられている。大山平一郎の指揮で、シベリウスの交響曲第1番、ドヴォルザークの交響曲第7番、そして「幻想交響曲」。石丸寛が亡くなる前に演奏したラヴェルの「ボレロ」も息詰まるような名演だった。園田高弘が共演したベートーヴェンのピアノ協奏曲シリーズは記憶に残る演奏である。小林研一郎も熱演を続けている。いまや、九響はピークに達しているように思える。 九響の定期演奏会を昔は電気ホールで聴いた。その後、福岡市民会館に変わったが、テオドール・グシュルバウアーが指揮したモーツァルトの交響曲第31番「パリ」のしゃれた演奏を懐かしく思い出す。メルパルクホール福岡に移ると音響的に満足できるようになった。黒岩英臣の指揮で「運命」や「悲愴」を聴いたころだ。さらに大きな福岡サンパレスへと変わり、現在ではアクロス福岡と並行して定期演奏会を開いている。 オーケストラの定期演奏会とは、原則としてそのフランチャイズで開く楽団の“顔”ともいうべき重要な演奏会である。野心的なプログラムを組み、リハーサルを入念に行ったうえで本番に臨む。定期演奏会とその他の演奏会の違いは大きいが、福岡市はプロのオーケストラのある街であり、定期演奏会のある街なのだ。 クリーヴランドという街は、五大湖に面したアメリカ中東部の商工業都市である。この街の人たちは、自分たちのオーケストラが世界一だと信じている。クリーヴランド管弦楽団。クリストフ・フォン・ドホナーニの下で世界超一流の水準を維持している。しかし、世界一ならベルリン・フィルやウィーン・フィルがあるではないか・・というのが一般的な見方。それにもかかわらず、クリーヴランドでは「ウィーン・フィルよりクリーヴランド管弦楽団の方がすばらしい」と報道されている。クリーヴランドの人たちは、自分たちのオーケストラを愛しているのだ。 福岡市の人たちは九州交響楽団を自慢しているだろうか。そうであるとも、ないとも言える。 九響の2000年度の定期演奏会の入場者は1回あたり1600〜1700人だった。1800席のアクロス福岡では満員まであと一歩だが、2300席とより大きいサンパレスだとまだまだ空席が目立つ。定期会員は500人。同じ地方オーケストラである札幌交響楽団と比べると、半分程度でしかない。それに若い人の姿が少ないのが寂しい。海外のオーケストラがやって来ると大金をはたいて聴きに行くが、地元のオーケストラは聴かないという人は結構多いのである。 福岡は日本で2番目に古い歴史を持つオーケストラ、九大フィルを生み出した土地である。かつて「合唱王国」とも呼ばれた。九響は、アマチュアからプロのオーケストラへと苦難の道を歩み、多くの人たちがそれを支えてきた。その成果を見守り、応援したい。その成果にヴィヴィッドに反応したい。福岡市を「音楽の街」にするために。 |
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