財団機関誌 季刊 wa
[アート入門]ガムラン
青銅が奏でる摩訶不思議の楽曲
青銅楽器を「たたく」音楽
 ガムランの語源は「ガムル(たたく)」。たたいて音を出す楽器と、その音楽とを意味する言葉だ。たたく素材は竹・木・石・鉄・真鍮などさまざまだが、青銅のものが最も音が美しく、尊重されている。
 ガムランは青銅製の打楽器を主体とした合奏音楽だが、青銅製の打楽器と一口にいっても、そのバリエーションはきわめて豊富。形も大きさもさまざまな種類があり、それぞれが合奏の中で異なる役割を果たしている。
 最も特徴的なのが、円形のゴング。このゴングの中にも大小さまざまな種類があるが、いずれも中央部にこぶが付いていて、これにより一定した高さの音を出せるという。青銅琴には低音・中音・高音のものがある。青銅楽器のほかに、指揮者の役割をする太鼓や2弦の胡弓、竹笛、さらには歌や踊りが加わる場合もある。これらの音が響き合い、美しい旋律を生み出していく。
 
1回ごとに演奏が異なる
 そもそも青銅を使った楽器は、紀元前600〜500年前に中国南西部で生まれた。この銅鼓が紀元前後の200〜300年の間に東南アジア全域へ伝わったらしい。ジャワのガムランの原型は14世紀までに、現在のような楽器編成はジャワの宮廷文化として18世紀半ばまでに完成したと考えられている。  アジアの多くの音楽がそうであるように、ガムランにおいても楽譜はほとんど使わず、ほとんどの場合は口伝によって音が伝えられてきた。西洋音楽のように1音1音が規定されていないため、同じ曲でも奏者によって演奏は異なるし、同じ奏者でも1回ごとに演奏が違う。こうしたライブ感は、ガムランを楽しむ上での大きなポイントだ。
 
個人を超えた普遍的な物語
 ガムランは個人的に楽しむ楽器ではなく、共同体の儀式と密着した楽器である。インドネシアでガムランが演奏されるのは、誕生や結婚などの通過儀礼をはじめ、農耕儀礼や宗教上の祭りの時などだ。
 旋律に全身をゆだねるだけでもガムランは充分に楽しめるが、文化的なコンテクストの中で音楽を捉えれば、ガムランへの理解はさらに深まる。私たちが親しんでいる西洋音楽とガムランは、およそさまざまな面で大きく異なっているが、その違いを、好奇心を持って積極的に楽しむことが大切だ。
 
 
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