|
 |
沖縄の芸術大学に進学して、織物を勉強したのがきっかけなんです。せっかく沖縄に行くんだったら、沖縄独自の伝統工芸を学ぼうと思って工芸を専攻し、伝統工芸としての織物を学びました。卒業後の進路を考えているときに、金沢市立美術工芸大学に織物をアートとして教えている先生がいらっしゃると知り、その大学院に進むことにしました。
金沢市立美術工芸大学で学んだのは、ファイバーアートというどちらかというと芸術志向が強い織物なんです。ですから、自分の考え方や何を表現し、何を伝えたいのかというテーマ性やコンセプトが大事になってきます。最初の頃はそういう表現方法に慣れていなくて苦しかったんですが、同時にその大切さを学びました。 |
| |
 |
フィレンツェのLISIO工房では、伝統的な手織りのヴェルベット(ビロード)の制作技法を6か月間学びました。LISIO工房での研修を上司の伴和子さんに報告すると、これがきっかけとなって伴さんをはじめ女性工芸家のグループがフィレンツェを訪れることになりました。さらに、フィレンツェ・ヴェルベットの製法を博多で試して、博多の伝統的な織物として取り入れることができないだろうかと。その第一歩としてフィレンツェと博多の手織りを福岡で紹介する『博多、フィレンツェの絹手織物展』が11月27日から開催されることになったんです。 |
| |
 |
フィレンツェの伝統的なヴェルヴェットの制作技法を学んだことともに、伝統から学び新しいものを作り出す精神や美意識を肌で感じることができました。
織物の会社は、200年前の機械を未だに使っています。だからといって古い物しか作らないわけではないんです。ミラノ・コレクションのバックを作ったりもする。糸の代わりに羽を織り込んだりする新しい試みも少なくありません。幾何学模様のような伝統的なデザインに対する考えも変化していきました。
それまで私は、パターンを繰り返す幾何学模様があまり好きではなかったのですが、フィレンツェで暮らしていくと素直にきれいだなと思えるようになってきました。フィレンツェの町並みのいたるところに優美な幾何学模様をモチーフにした装飾や細工が見受けられます。簡潔で、しかも深みや柔らかさがあって人間味があふれるデザインにパワーを感じるようになったんです。
フィレンツェ・ヴェルベットの製法やその美意識に触れてみると、それは博多織にも参考になることがあるはず。今回の交流展をきっかけに、博多織にフィレンツェの伝統や美意識を取り入れ、伝統を重んじながら、しかも新しい感覚の博多織を自分の手で織り上げていきたいですね。 |
| |
 |
 |
おぐし かな
福岡市生まれ。沖縄県立芸術大学卒業。金沢市立美術工芸大学・大学院産業デザイン科終了後、博多織「伴工房」に所属。「女性伝統工芸士展」などに参加。2000年9月、フィレンツェ(イタリア)のLISIO工房で半年間研修。 |
|
| |