財団機関誌 季刊 wa
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Q.「地下鉄1号線」の原作は、ドイツ統一前に初演されたミュージカル("Linie 1"/グリップス・ティアター制作)とうかがいましたが、どんな点に興味を持たれたのですか。
A.その内容は、西ドイツの田舎に住む少女が西ベルリンに恋人のロック歌手に会いに行くところから作品が始まり、車内と駅で繰り広げられる一日の人間模様が描かれていますが、この作品の随所に見られる、分断や冷戦の痕跡に非常に興味をそそられました。さらに、ロックバンドがライブ演奏をするスタイルは、韓国の伝統芸能で広い庭で生演奏とともに劇を行うマダングクを思い起こさせたのです。
 
Q.翻案するにあたって工夫されたのは、どんなところですか。
A.登場人物のひとり一人を韓国の人物に置きかえてみようとしましたが、途中で壁にぶちあたってしまいました。というのは、国家の状況はもちろん違いますが、ベルリンとソウルという都市も、やはり歴史的な背景や社会が異なります。そこで原作に出てくる複数のキャラクターをある時は一つにまとめて、あるいは逆に、原作の一人のキャラクターを何人かのキャラクターに細分化して、置きかえるようにしました。
 
Q.4月のベルリン公演が、観客・マスコミから高い評価を受けたとうかがっています。そのベルリン公演の感想を聞かせてください。
A.1つのオリジナル作品から、地球の反対側に位置している国で、キャラクターもストーリーも違う2つの作品がうまれたというのは、実に興味深いことでした。
 同時に、全く異質な印象を受ける2作品ですが、実は同じ作品なのではないかという錯覚に陥るようなところがあったのです。ベルリンとソウルは、現代の代表的な大都市ですが、そこに住む庶民の姿は、現代の都市生活者としてのある普遍性を持っているのではないかと。
 そして今回、福岡で上演することになりました。「地下鉄1号線」では、ソウルという都市の生の姿に出会っていただくことができるのではないかと楽しみにしています。
キム・ミンギ(金敏基)
1951年、韓国全羅北道生まれ。69年、ソウル大学西洋絵画学科入学。在学中に作詞・作曲した「朝露」が当時の民主化運動のシンボル的な存在となる。91年、ハクチョン小劇場を開館。94年、ロックミュージカル「地下鉄1号線」などを演出。
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