財団機関誌 季刊 wa
[クローズアップ・ミュージアム 福岡アジア美術館]
電気仕掛けのアミューズメント・パーラー

「ここかそれともどこかで」2001
"For here, or to go"(「ここかそれともどこかで」)というタイトルとテーマについて教えてください。
 引用したのは、ファースト・フード店のきまり文句、"For here or to go"(店内ですか、お持ち帰りですか。)というフレーズです。この聞き慣れたフレーズを違う文脈に置きかえると哲学的なメッセージとも聞こえます。
 一連の作品のコンセプトは、アミューズメント・パーラー(娯楽場)です。私の作品も一見娯楽場の遊具のように人の目をひき、スイッチを踏むと電気仕掛けで動きます。最初は、面白いと感じていても、同じ動作の繰り返しなので、だんだんつまらなくなる。その心の動きが、何か新しい創造力をもたらすきっかけになってほしいのです。
 
拠点とするボンベイは特別に創造力をかきたてる街なのでしょうか。
 私がかつて知っていたボンベイは、人々がリラックスして、ゆったりと時間が流れていました。それに対して、今ボンベイは、すごい混乱のなかで変化し続けています。8年間ボンベイを離れていましたが、そのあいだに人口が3倍に増え、環境汚染もひどく建物も壊れてきました。一方で新しいビルが建てられ、上流階級の人たちが楽しむ上等なレストランもどんどんできています。将来どうなっていくのか、全く想像もつきません。
 
シエッティさんの作品は、消費社会というキーワードで紹介されることが多いのですが。
 消費社会の現実や将来に強い関心があります。しかし、作品を通して消費文化の善悪を判断しているわけではありません。自分たちの生活の中で、何が起こっているのかというのを確かめたい。消費社会に対し、自分自身がどんな判断をし、どんな態度を決定していくのか自分でも分かっていません。作品を作っていくことで、だんだん明らかになっていくのだと思います。
スダルシャン・シェッティ(インド)
1961年生まれ。1980−85年、ムンバイ(ボンベイ)にあるサー・J・J美術学校で学ぶ。ムンバイ在住。1998年「インド現代美術展」(東京)に参加したほか、2000年に「光州ビエンナーレ」(韓国)、2001年には「センチュリー・シティ」(イギリス)にも出品。
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